4月25日 本日のお魚情報
『味の王様 シーズン本格化』
 いよいよ桜前線がやってまいります。同時に青森市場も活気を帯び始め、春の味覚が続々と入荷し始めています。中でも「味の王様」といわれる陸奥湾産ホタテが筆頭格。北海道産ホタテに変わり、次第に入荷量を増やしてきました。でも、今年はその勢いが弱いのです。
 すでに報道されていますが、2009年には全国第2位の水揚げ量で全国のホタテ生産量の15%。青森県の漁業生産額約512億円のうち約121億円を誇る陸奥湾ホタテが昨年夏の高水温を起因とする斃死で大幅に生産量を減らす公算です。本報道は夏が終わってからの報道でしたので、実際の流通では暮れのお歳暮に影響が出たくらいでしたが、低水温の影響、県の指導もあり母貝の産卵を促すために今シーズン初回の半成貝入札を延期。同じく成貝も出荷量を抑えたため、GW目前!雪解けも進み、行楽、BBQのシーズンも間近にもかかわらず流通量が極端に少なくなっています。加えて、この度の震災により、三陸産ホタテもが流通できないでいることも事態をより深刻にしています。わかっていたこととはいえ、シーズンになっても陸奥湾産ホタテが多く出回らないという事態を目の当たりにすると、日本一ホタテを食べる青森市民にとっては至極身近な水産品であるがゆえ、その思いはひとしおです。放卵が終わって出荷が進むことを願うばかりです。一方、自粛ムードが漂い観光客の減少が危惧されています。ですが、「味の王様」は必ず観光客を戻してくれます。その日までに資源回復のための管理を業界全体で取り組んでいくことが大切です。
 
 2011年04月18日 月曜日
『身欠にしん』
 かつて北日本、特に北海道の日本海沿岸では、春になれば海が白く染まるほどニシンが押し寄せ大量に群来していましたが、1897年の97万トンをピークに急激に漁獲量が減少し1958年にはほとんど水揚げがない状況にまで落ち込みました。北海道周辺にはサハリン系、テルベニア系に加え、石狩湾系、風蓮湖、厚岸、能取湖、サロマ湖など湖沼系群が知られています。近年、北海道のニシン資源増大プロジェクトの研究成果などから、2009年には石狩湾の漁獲量が1,700トンを超えるなど回復傾向がみられています。また冷蔵技術が発達していない時代には、大量のニシンを日本各地に流通させるため、干し物に加工したものが『身欠ニシン』と言われています。但し近年は、原料事情から海外(アメリカ、ロシア他)の原料を使用している製品がほとんどのようです。
  4月も下旬にさしかかって県内もようやく春らしい陽気になり、これから新緑の季節を迎えようとしています。今年の冬は積雪が多かったせいか、会社の事務所から八甲田山系を望むと、山肌はまだ雪深いように見受けられますが、ゴールデンウイーク明けあたりからは、山が好きな方には待ちに待った山菜シーズンの到来です。県内の日本海側を中心に山菜の「根曲がり竹」と一緒に『身欠ニシン』を醤油ベースで炊き込む家庭料理などはこの時期だけの旬の逸品です。生で食するのも素材の良さを堪能出来ますが、たまには山の幸と一緒にいただいてみてはいかがでしょう。
 
 2011年04月4日 月曜日
『トゲクリガニ』
 先週は最高気温が15℃を超える日もあり、春を体感する日が多くなってきました。気温の上昇に伴い各地では桜満開のニュースが多くなっています。当青森県では今年、弘前城が慶長16年(1611年)に完成してから築城400年の節目を迎えています。2週間後の25日には、弘前公園の桜の開花が予想されています。
 さて、青森で花見といえば昔から欠かせない食材が色々ありますが、今回はその主役のひとつとして根付いている「トゲクリガニ」を紹介します。トゲクリガニは毛蟹の仲間で北海道日本海側・陸奥湾・東日本の太平洋側に分布します。特に陸奥湾は主産地であり、花見時期の4月から5月にかけて多くなることから、「花見ガニ」とも呼ばれ毛蟹よりトゲクリガニを食す土地柄です。
 陸奥湾内では籠と刺網で漁獲され、ここ数年は50トン前後の漁獲量があります。今年は陸奥湾内の水温が例年より2℃程低いことにより水揚げは低調で、ボイル品は例年より大幅に少なくなっておりますが、4月に入り徐々に外気温が平年並みとなっていることから、今後水揚げ増が期待されます。
 青森市の桜の名所のひとつ合浦公園も弘前城に多少の縁があり、旧弘前藩の庭師・水原衛作氏が造成し、今の公園へと歴史が刻まれています。花見の際には、是非花見ガニの旬の味覚と、青森県が誇る名城・弘前城築城400年の歴史も堪能してはいかがでしょうか?
 
 2011年04月4日 月曜日
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『新年度』
 新年度を迎えて初めての月曜日。今日から弊社では鮮魚売場の配置をリニューアルいたしました。セリに参加されているお客様の利便性を考慮し、イカセリ→大口セリ→近海セリの順で行われるセリに一体感を持たせることを目的に、相対品を北側、セリ物品を南側に配置しました。
 新年度、心機一転で臨んだ新しい売場。時化の影響で入荷量は少なかったものの、月曜ということもあり、たくさんのお客様の注目のもとセリが行われました。大口セリから間髪入れず行われた近海セリへの移行時には、冷めやらぬ熱気が近海セリにももたらされ、活況の中セリを終えることができました。
 また、冷凍品などオススメ品を市場冷蔵だけの販売ではなく、セリ場にしかいらっしゃらないお客様の目にも触れていただけるようマグロ低温売場の前に番台を設置し、販売を開始いたしました。震災後、三陸筋からの入荷に支障が続いており、魚種によっては冷凍物の需要が増えてきております。ぜひ、本売場にて新規商材に取り組んで頂き、弊社がお客様への新提案の一助となれるようご活用お願い申し上げます。 
  2011年04月1日 金曜日
『キアンコウ』
 県内にも桜の開花予想が発表され平年通りの4月25日の開花で、満開が29日の発表予想がありました。青森市内は4月に入ってもまだ積雪が残っていて、今年は未曾有の大震災に見舞われていることもあり、冬の時間が特に長いように感じられます。
 津軽地方はまだ朝・夕気温の低い日が続いていますが、鍋料理の出番はこれからまだありそうです。特に津軽では「鱈のじゃっぱ汁」を食すると体の芯から温まりますが、今の時期は肝が大きく濃厚な味わいを堪能できる「アンコウ鍋」も良いですねー。「東のアンコウ、西のフグ」と称され寒い時期の味覚の代表です。漁法は主に底びき網、刺網、定置網で漁獲され、皮はブヨブヨで身が柔らかいうえ、粘液でヌルヌルしてつかみどころがないので、まな板を使わずに鉤に掛けて吊るしてさばく【吊るし切り】が有名です。捨てるところが少なく、皮、柳肉(ほお肉)、ヌノ(卵巣)、水袋(胃袋)、トモ(肝臓)、肉、ヒレは俗に「アンコウの七つ道具」といわれています。また、本県沿岸のアンコウ漁獲量は年間千トン前後で、アンコウ料理で知られる茨城県の漁獲量10倍の水揚げがあることはあまり知られていません。
 冷え込んでいる地域経済はありますが、当市場はこれからも安心・安全な水産品を提供出来るよう頑張る所存です。