4月20日 本日のお魚情報
ヤマトシジミ
 食に関する記念日はいろいろあります。当市場で扱う水産物でも、青森県ならではの記念日があり、中でも6月18日の「{むつ湾)ほたての日」が有名です。また、今週の4月23日は有限会社日本シジミ研究所が「し(4)じ(2)み(3)」の語呂合わせにならい制定した「シジミの日」となっております。
そこで、本日は青森の貝類の中では帆立貝に次いで、なじみ深い「ヤマトシジミ」を紹介致します。 青森県では、十三湖と小川原湖(ともに汽水湖)の2ヶ所が「ヤマトシジミ」の2大産地となっています。どちらもトレーサビリティを導入し、QRコード対応により生産者情報が瞬時に把握できるようになっています。
 当市場の扱いは、ほぼ100%が十三湖で通年流通されております。今春、十三漁協において蜆貝の船曳操業が4月10日に開始されましたが、水温が低いことから一旦中止され、次回5月GW明け以降に再開することになり、現在は蓄養物の水揚げに変更となっております。年間ベースでのサイズアソートは小サイズが全体水揚量の6割強、中サイズは2割強と小型サイズが中心規格となっております。ヤマトシジミの生息域は北海道から九州までと広く分布しており、宍道湖や利根川が主産地として有名ですが、以前メディアで全国的に紹介された十三湖産も他産地に負けず劣らず「ブランド」扱いとなっております。
旬は、寒さにより旨みを増す「寒シジミ」の冬と「土用シジミ」の夏です。メニューは味噌汁が一般的ですが、大サイズはスパゲティなど、その他にはスタミナ炒めや身とエキスによるシジミご飯などです。
 先週17日は「春土用の入り」、今週の23日「シジミの日」と行事は続きます。今春は低温傾向でまだ肌寒く、風邪の引きやすい天候となっており、健康への効能が高く、体がホットになるシジミの味噌汁を是非お召し上がり下さい。
 2010年4月12日 月曜日
トゲクリガニ お花見の隠れた主役
 桜前線が、関東からいよいよ東北へと北上して来ています。温暖化の影響か、近年はゴールデンウイーク前に散り始めることも【弘前:昨年/4月17日開花・4月22日満開。青森:昨年/4月18日開花・4月23日満開】たびたびありました。しかし今年青森の開花予想は、弘前が開花4月24日・満開4月29日、青森が開花4月26日・満開5月1日と予想されて特に、弘前城公園の園内にある約6000本の桜は世界一と称されゴールデンウイークに見頃となり、ETC効果と合わせ、多くの人出(昨年244万人)が予想されます。
 そこで青森のお花見に欠かせないのが、花見時期と水揚げが重なる陸奥湾の『トゲクリガニ』『シャコ(青森ではガサエビ)』が隠れた主役となります。シャコはまたの機会として今回は『トゲクリガニ』をご紹介します。毛ガニと同様、クリガニ科の仲間で北海道が主産地の毛ガニは正式にはオオクリガニといい、東北地方に広く分布していますが陸奥湾ほど多く取れる海域(年間水揚げ約50トン)はないと言われています。毛ガニに比べ、型は小ぶりなもののカニ味噌は磯の風味が詰まった濃厚な味わいを堪能でき宴会には欠かせない旬の味です。小売店などでは比較的、お買い求めやすく1パイ300円から500円ぐらいで売られておりますので、是非お花見には『トゲクリガニ』を肴に春を実感しましょう!!
 2010年4月8日 木曜日
マダイ
 日ごと気温が上がり一気に青森市場のセリ場も春めいてきた今日この頃、代表魚であるタイの上場が増えてきています。春から初夏の産卵期が桜の季節に重なり沿岸に寄り、盛んに捕食活動を始め数多く漁獲されることから桜タイとも呼ばれています。一口にタイと言っても上場している魚を見るとマダイのほかにチダイ、大きさによって笹ダイ、半タイといった具合にさまざまな呼び名があります。日本にいる魚類3400種あまりのうちでもタイが属するスズキ目は約40%。うちタイは13種が確認されています。魚類の大派閥に属しているだけあってタイは古代から、朝廷への貢献に用いられていたほか、鎌倉時代以降武士階級が台頭すると、タイの見栄えする姿形がますます好まれ、室町時代には鍋を上物とする和食の習慣が定まることとなりました。その後、「めでたい」などの語呂合わせに意味を求める風習や、赤い色を貴色とする仏教や儒教の影響も加わって、江戸時代には「魚の王」とまでもてはやされる様になりました。
 桜タイは産卵直前のメスよりオスのほうが旨い、とされていますが、タイは雌雄同体が良く知られている魚種です。赤色系のタイはメスからオスに、クロダイなどの黒色系のタイではオスからメスに性転換する事が判っています。マダイは、4歳まで両性生殖腺を持つ現象がみられ、2歳頃に多くがオスへと性転換するが、成熟するとほぼ半数づつメスとオスになります。台湾産のマダイは、産卵後に原則メスがオスに変わるが、全て変わるのでなく、各年齢どれにもメスがおり、一生オスに変わらずメスのまま過ごす「生涯メス」もいます。
 種を残すための自然の摂理が産卵期に向けてこのような現象を起こしているのでしょう。春はタイに限らず生物のホルモンを刺激し様々な現象が現れる季節です。人間も大いに影響を受けていると考えられています。理性をもってほどほどに。