11月26日 本日のお魚情報
『ハタハタ』
 今週のお天気予報では、日中の最高気温が1桁台で最低気温は0度以下と冷え込み、雪マークの日が続きそうな気配です。季節がら寒い日の夜の食卓では鍋が主役の日も多くなります。先週のトピックスでは青森県の代表的な温かメニュー「じゃっぱ汁」の真鱈でしたが、今週は週末が12月に入ることから、11月下旬から12月中旬にかけて水揚げが最盛期を迎える「ハタハタ」を紹介します。
 青森市場には秋田県産や山形県産の入荷に加え、例年より1ヶ月ほど水揚げが遅れていた北海道日高産が入荷し始めています。青森県日本海産の入荷は12月上旬から見えはじめ中旬頃にまとまった水揚げとなりますが、当面は秋田県産が入荷の主力産地となります。
 秋田県では魚介類全体の総水揚げ数量のおよそ2割近くがハタハタで、12月が最も多くなります。昨年は漁獲枠2,800トンに対し、漁獲量は約1,600トン弱。今年の漁獲枠は2,700トン。文字通り秋田県の「県の魚・ハタハタ」が青森市場においても最も入荷が多くみられつつあります。
 一方、青森県産の12月の漁況予測(青森県産技術センター水産総合研究所発表)では、2年魚(中サイズ1尾80〜100g)主体に推定漁獲量は600トンと昨年実績363トンを超える予想となっています。県内の量販・小売店の売場でもハタハタの品揃えが目立つようになっており、青森県産のハタハタも12月中旬には多く見られるようになります。相場は、昨年より大幅に水揚げが少ないこともあり、大サイズで卸価格がk1,000を超えまだまだ高値ですが、12月に入り市場の入荷量が数千箱となる日は最も庶民的な価格の魚となります。
 日本海産のハタハタは比較的骨がやわらかいため丸ごと食べることが出来、鍋メニューの他、田楽やフライ等もおすすめです。特に、寒さが身にしみる日に、最寄りのお店でハタハタがお買得の日には、是非家族団らんで「ハタハタ鍋」を囲んではいかがでしょうか?
 2012年11月19日 月曜日
『真だら』
 平成24年8月27日付けで、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)から指示されていた青森県太平洋海域における「真だら」の出荷制限が、平成24年10月31日付け指示文書により、解除になったというニュースは記憶に新しいと思います。
 本県の「真だら」の年間水揚げは約4,500トンと主要魚種として位置づけられております。これから鍋シーズンを迎えるにあたり、我々流通業者も一安心というところです。
 現在は、北海道松前の釣り物及び刺網物が中心で、約10kgに2〜3尾のサイズが多く纏まるようになり、盛漁期に向けてこれから日本海(小泊・下前)の刺網もスタートし、下北(脇野沢地区)では12月5日に伝統漁の「場取り」で本格的なたら漁に入って行きます。今週から天気予報では、雪マークが見られるようになり、いよいよ県内にも冬将軍到来といったところで、夕食は家族で鍋を囲む機会が増えると思います。寒い冬は体の芯まで温まるじゃっぱ汁などで体力をつけ、これから来る長い冬を乗り切りましょう。
 2012年11月12日 月曜日
『さわら・さごし』
 初秋は下北・尻労あたりのものが中心でしたが、今朝セリ場に並んだのは、青森県日本海大戸瀬水揚げのもの。すっかり肌寒くなり海水温が下がったことからイカやマグロと並んではるばる日本海の西の方から回遊してきたものです。魚体の小さな物は「さごし」と呼ばれます。一時は温暖化による北上で珍しがられていましたが、こうも一年中あると馴染みの顔となってしまいました。でも青森では食し方が解らないためか評価はなかなか上がりません。先週いらした九州福岡のバイヤーは「こんなに安くていいの?」と喜んで買っていったのに。
 産卵後の夏場を除き、ほぼ年中うまい魚。桜の花盛りの頃に獲れるサワラを和歌山では「桜鰆」と呼び春の「使者」としています。水分が、サバの65%などと比べて70%とやや多く、肉質は軟らかで身割れしやすいことから尾に近い部分が美味。関東は寒鰆を好み、塩焼きと西京漬けが中心。関西は春鰆を好み、刺身、照焼、塩焼き、西京漬け、かぶら蒸し、押し寿司などで賞味されます。では、今の青森でのオススメしたい食べ方は?それは刺身。やっと下がった水温での水揚げのため脂肪が多く、マグロのトロの様なトロリとした食感が味わえます。やわらかい身肉。そして皮と身の間の独特の香りを生かすため、皮をつけたまま造りにします。
 他県に比べ水産物に恵まれた青森県にいると全国的に貴重となっている近海魚のありがたみが薄れるのでしょうか?「灯台もと暗し」青森県の近海魚の価値を知る・高める行動がまだまだ不足しているからこそ評価が出ないのでしょう。水産業界人として身につまされる思いです。