7月のお魚情報
 2009年7月29日 月曜日
カキ喰えば・・・。
 「Rの付かない月はカキを喰うな」
 なんていわれますが、岩ガキはJune、July、Augaustの今が旬。
青森周辺では秋田の象潟、山形庄内浜、他に新潟、石川能登産辺りが有名です。陸奥湾、八戸でも生食用に処理された商品が、僅かながら出荷されています。
 一般にカキの旬はスーパーにマガキの剥き身パックが並び出す冬ということになっていますが、同じカキなのになんで旬が真逆なんだろうと思ったことはありませんか?
カキの産卵期は夏。岩ガキは産卵期直前の栄養たっぷりの身を丸ごと食べているから、クリーミィーで甘く切ないというのは理解できるのですが、マガキの旬は卵が振ってしまった後の冬。
カキの生食というのは気温、海水温が高いと様々なリスクが生じる。というのはわかっていますが、岩ガキは食べていいのに、マガキはダメ、というのは流通が悪く、海水の殺菌技術が進んでいない時代の幻影を引きずっているのではないか?などと思ってしまう。
私が考えている以上に、夏にマガキを出荷しない理由がきっとあるのでしょう・・・。
 この疑問は魚屋なら実食して解決すべきと思う。
「産卵直前の夏、マガキは旨いに違いない・・・。」
 2009年7月17日 月曜日
うなぎ
 うなぎを取り扱いされている方にとっては、年に一度の繁盛期「土用の丑の日」が今年も目の前に迫ってきています。昨年、一昨年と「土用の丑の日」商戦は、中国産製品全般に対する風当たりが強く、各量販店の売り場は、国産の加工鰻がほとんどでした。しかし、今年は景気後退の煽りを受け価格高の国産品だけでは需要が低迷し売上につながらないため、低価格な中国産などの輸入品もラインナップされ消費者の選択肢に加わっています。

 1000年も昔の万葉集でも”うなぎ”の句を使って歌われています。夏の土用は暑さが厳しいことから、”うなぎ”は精のつく強壮剤として効果のある、健康食品として扱っていたのでしょう・・・そして200年前の江戸時代、平賀源内がうなぎ屋店主の相談を受けて、うなぎを食べると長寿延命になるという意味で「きょうは土用の丑の日」と張り紙をしたことから大盛況になったといわれています。土用の丑にうなぎを食べる習慣が今も受け継がれています。

 今年の土用の丑の日は、7月19日(日)と二の丑が7月31日(金)と二度ありますが、なかなか東北地方も梅雨が明けず夏本番に突入しませんね。これから暑い季節を乗り切るために、ビタミンAが豊富な「うなぎ」を食べてスタミナUPを図りましょう!!
 2009年7月13日 月曜日
さんま
 生鮮、解凍と1年中食卓に上がる機会の多い、数少ない自給率100%の魚「さんま」が先週9日に北海道・道東の釧路などで初水揚されました。
昨年に比べ、初日は豊漁でしたが、150グラム台の小型魚が多く水揚げされました。
 解禁されたのは道東のさんま流し網漁(10トン未満船)で、しばらく価格は高どまりしそうですが、8月上旬から大型船の棒受網漁により本格的な水揚げが行われ、9月には脂乗りの良いさんまが多く水揚げされます。
さんまが広く食べられ始めたのは、江戸から明治にかけてからで、夏目漱石の「我輩はねこである」の中では「三馬」と表記されています。「秋刀魚」表記は、明治の末から大正になってからだといわれています。それ以前は下魚とされ、かの紫式部は夫にバレないようトイレに隠れて食べていたと言われています。美味しいのはもちろんですが、良質のタンパク質やビタミンA、カルシウムとビタミンDなど、サンマにはたくさんの栄養が含まれています。
 江戸時代から食されてきた庶民の魚「さんま」は、健康面からも現代の日本人の食生活に欠かせない食材といえます。
 2009年7月6日 月曜日
カツオ
 「目に青葉 山郭公(ほととぎす) 初松魚(はつがつお)」といわれるように今の時期のカツオは早春2月頃から夏にかけて太平洋を北上する「上りカツオ」。夏を過ぎ北から南下する脂の乗ったカツオを「下りカツオ」と呼ぶ。一般に「上りカツオは脂がない」といわれるが、7月の金華山あたりのカツオは、すでに親潮との潮目に到達。多くのエサを捕食し食べ応えは十分だ。
冷蔵技術の発達していなかった頃は、鮮度の落ちやすい魚の代表格であった。そのため、水揚近海地域の人しか口にすることが出来ず、初カツオ入荷初日は価格は暴騰。俗に「女房を 質に入れても 初鰹」いわれるほどだった。それ程ウマイといわれるカツオ。筆者も経験済みだが本当に良いカツオは鮪をも凌ぐうまさだ。その秘密はタンパク質が分解されてできる最高の旨み味成分であるイノシン酸。ただし、鮮度が落ち始めると旨み成分は消え、最後にはヒスタミンを生成しジンマシンを発症する羽目になる。そんなリスクを犯してまで石器時代から愛されたカツオ。
青森ではこれまであまり食べられて来なかったカツオだが、県外量販店進出にしたがい、食卓にのぼる機会が増えてきた。この季節、冷酒のお供に刺身をつまみながら脈々と受け継がれてきた食文化に思いを馳せ、来たる夏を迎えるのも一興では?